コロナ禍での人権政策確立にむけて
人権ネットワーク・東京が要求書提出


 首都圏を中心に活動する23の被差別当事者団体で構成される人権ネットワーク・東京(代表・八柳卓史)は、1月26日、小池都知事に対して、コロナ禍において、「あらゆる差別撤廃、人権政策確立に向けた要求書」を提出した。

 本来は、中山都議、加藤都議の紹介で2月5日に人権政策について東京都と話し合いを持つ予定であったが、緊急事態宣言下で中止となり要求書を提出し都は文書で回答することとなった。

 新型コロナウイルス感染症は拡大を続けており、市民の命が危機にさらされているとともに、インターネット上などへの誹謗・中傷が後を絶たず、差別や人権侵害は強まりをみせている。このような状況の中で、「要求書」では「東京都人権尊重条例」の進捗状況やその成果と課題を明らかにすることなど被差別当事者の立場から6項目14点の要求を以下の通り提示した。

 1.「東京都人権尊重条例」に基づき、7区に関係する8回のヘイトデモ等が公表されているが、 ヘイトデモは公表だけでは解消されない現実を踏まえ、「不当な差別的言動の解消」(条例8条)にむけた対策を明らかにすること。在日コリアンや移住者に対する差別の解消に向けた教育・啓発(条例第10条)の進捗状況を明らかにすること等。

 2.東京都性自認及び性的指向に関する基本計画では、当事者向けに「交流の場・機会」を提供すると示されているが、その際に、そこに参加した者から新型コロナウイルス陽性者が出た場合、東京都新型コロナウイルス感染症対策条例に基づく情報提供は、性的指向や性自認についての情報漏えいにつながることも考えられる。どのような配慮をした上で情報提供を行うべきと考えるか明らかにすること等。

 3.「新型コロナ対策条例」第4条差別禁止規定に関わって、「コロナ差別」の実態を明らかにし、被害者の救済策および加害者への再発防止策を明らかにすること。

 4.新型コロナ感染症の治療において、精神病院入院患者,施設入所の障害者,在宅の障害者も,高齢者も障害のないものと平等に年齢と関わりなく治療が保障されること。

 5.インターネット上のあらゆる差別の撤廃に向けた法律の制定を国に要望すること。

 6.コロナ禍において「東京都人権施策推進指針」で示されている「関係者のニーズを把握し様々な主体等との連携」を具体化するためにオンライン会議等の環境整備をはかること。