差別を撤廃する都政の確立に向け都と交渉
人権ネットワーク・東京が東京都人権部と交渉


東京都人権部との交渉

 都内の被差別当事者団体等で構成される人権ネットワーク・東京は、2021年10月15日、都議会棟会議室で加藤雅之都議(都議会公明党)を中心に、成清梨沙子都議(都民ファーストの会 東京都議団)、阿部祐美子都議(東京都議会立憲民主党)の紹介、参加のもと、東京都人権部との交渉を実施した。人権ネットワーク・東京からは7団体、10名が参加した。

 交渉は、人権ネット・東京から提出した「あらゆる差別を撤廃する都政の確立に向けた要望書」に対して都から回答があり、その後質疑に入った。

 「東京都人権尊重条例」(以下「条例」)の推進状況については、「東京都人権施策推進指針に掲げる17の人権課題それぞれにおける取組の方向性を踏まえつつ、今後も施策を推進していく」と回答。

 「条例」に基づくヘイトデモや集会の「公表」について、不当な差別的言動を行った日時、場所、ヘイトスピーチ内容だけではなく、個人・団体の名前・名称を加えるよう要望したことに対して、人権部は「発言者に対する制裁を行うことではなく、ヘイトスピーチは許されない旨、啓発していくことを目的としている。効果的な公表の仕方を工夫し、都民に対して発信していく」と回答。この回答に対して、「公表」が開始されてもヘイトデモなどが減少していない。また、ヘイトスピーチの内容だけ公表すると差別を助長しかねないと追及した。

 「精神病院入院中の感染、発病者の実態を把握し、高齢者、障がい者のコロナ感染防止や治療の保障を」という要望に対して「病院や施設に入所されている高齢者や障がい者に差をつけることはなく、検査体制や医療提供体制の整備を行い、患者個々の病状に応じた治療を行っている」と回答したことに対して、参加者からは現実の実態とかけ離れている。きちんと実態調査を実施するよう再度要請した。

 人権教育に関わって、東京都内のほとんどの小・中・高・特別支援学校が、ホームページ上に公開している学校経営計画並びに報告に、差別や偏見をなくすための人権教育の取り組みとその成果についての記載が見当たらないことについて、「各都立学校が策定している学校経営計画は、各学校の目指す学校像や中期的な目標の内容を簡潔に記載しているため、全ての教育活動の項目が網羅されているわけではない」と回答し、人権教育が学校像や中長期的目標の重要なポイントになっていない実態を浮き彫りにした。

 最後に、「東京都人権尊重条例」を改正し、「いかなる種類の差別もしてはならない」と差別禁止条項を設け、その対象として「東京都人権施策推進指針」に掲載している「17人権課題」を明記するよう強く要求した。