都へ解放事業要求
要求実現へ行政闘争の強化を


コロナ禍で事業要求強化

 都連は8月24日、部落への差別と生活の実態を踏まえ、2021年度部落解放事業要求書を東京都に提出した。「要求書」は「解放行政確立」「普及啓発と人権対策」「学校教育」「社会教育」「保育」「青年・女性対策」「企業対策」「労働対策」「環境改善と生活向上」「芝浦と場対策」の10分野である。 「解放行政確立」の項では、①「部落差別解消推進法」の「第1条目的 部落差別のない社会の実現」の達成に向けた取り組みの強化、②法務省が実施した「部落差別の実態に係る調査結果報告書」に対する見解、③「東京都人権尊重条例」の実効性の確保、④今日の現実を踏まえた東京都人権施策推進指針の具体化、⑤「SDGs」の推進、特に差別撤廃条項(目標10)の具体化などを要求している。

 東京都は昨年度の要求書に対する回答で「今後も引き続き「基本方針」「指針」「人権尊重条例」「部落差別解消推進法」に基づき同和問題の解決に取り組んでいく」と回答している。コロナ禍で感染者などへの差別が強まっている。コロナ対策とともに、差別撤廃、人権確立の取り組みを強化しなければならない。差別の現実と部落の状況を踏まえ、当事者と連携し効果的な政策の確立と予算執行が不可欠である。要求実現に向け、東京都に対する行政闘争を強化しよう。

都内の部落の状況

①強まる部落差別

 鳥取ループ・示現舎は、「全国部落調査」復刻版出版とネット公表、部落解放同盟関係人物一覧のネット公表、「部落探訪」(ユーチューブ版含む)記事のネット公表、被差別部落を暴き差別身元調査などを誘発、煽動している。また今年5月、「2ちゃんねる」で芝浦と場に対する悪質な差別書き込みが発覚した。土地差別調査を煽動するユーチューブ動画も2019年1月に発覚し未だ削除されていない。インターネット上の差別が強まっている。

 2018年6月、東京の60歳代と思われる夫婦が、京都府南丹市に出向き子供の交際相手が部落かどうか調査した事件が発覚している。葛飾区では今年の2月公園ベンチ等8か所に「部落」と書かれた差別落書きが発覚した。昨年12月、世田谷区住民から部落解放同盟品川支部に「ヨツか?」「河原に住んでいるって聞いた」「同和の人はどうやってわかる?」「選挙権はあるのか?」などの露骨な差別電話があった。これらの部落差別の事例は私たちの日常生活の中で部落差別が横行していることを示している。

②部落の産業・生活

 中国などアジア諸国の台頭、TPPやEPA締結など貿易自由化の流れ、構造的不況の中で、部落の産業・企業は厳しい経営を強いられている。

 被差別部落の伝統的地場産業である皮革関連産業について、「なめし革製造業(豚革)」では「「なめし業者」の激減、外注先の廃業が相次いでいる。また「革靴製造業」の生産量は減少傾向にあり、地域経済が縮小する厳しい状況にある。