法務省「部落差別の実態に係る調査報告書」から
東京の実態と課題②


図3、図4

3 根強い交際・結婚差別意識

 「意識調査」では、部落差別という言葉を聞いたことがあり、その内容を「知っている」、「何となく知っている」と回答した人に、「近隣住民」、「交際相手や結婚相手」、あるいは「求人に対する応募者や職場の同僚」が旧同和地区出身者であるか否か気になるかと質問している。

 図2を見ると、「交際・結婚相手」として「気にならない」が62・3%(全国57・7%)しかいない。残りの37・7%の内訳は「気になる」12・7%、「わからない」24・1%となっており、「わからない」という態度は「気になる」の予備軍だとすると、約4割が「交際や結婚」において部落出身者を差別(排除)する可能性があるという恐ろしい実態が浮き彫りになっている。

 また、「気になる」と「わからない」を合わせると「近隣住民」や「求人応募者等」も12%から16%存在する。結婚、居住、就職という人生において重要な場面における差別は決して許されない。

 さらに、東京都区のクロス集計結果は公表されていないが、全国的には「部落差別は不当であると知っているか」に「知っている」と回答したものの中で、交際や結婚相手において「気にならない」と回答したものは59・6%しかいない。残りの4割の内訳は「気になる」15・7%、「わからない」23・8%になっている。おそらく東京都区も同様の傾向であると思われる。「不当だ」と知りながら「自分事」になると差別をする人が根強く存在していることを示している。

4 差別意図でネットを利用

 インターネット上の部落差別の実態を調査するために、部落差別関連情報ウェブページの閲覧者の内10117人に2019年7月18日から20日までアンケート調査を実施し875人から回答を得ている。尚、都道府県別のデータは公表されていないので以下は全国ベースの結果である。

 この875人に「部落差別または同和問題という言葉を聞いたことがあるか」と質問し843人(96・3%)が「聞いたことがある」と回答。さらにこの843人に対して「過去に部落差別または同和問題に関するウェブサイトを目にしたことがあるか」と質問し351人(41・6%)が「はい」と回答。その351人に対して、「部落差別または同和問題に関するウェブサイトを閲覧したきっかけ」を質問している。言い換えれば部落関連のウェブサイトで何を調べようと思ったかということである。そこに差別の現実が現れている。

 図4の通り、「部落差別の歴史や用語などの一般的事項」が61%で最も多く、「その他の事項」22%、「偶然目にした」21%という順になっている。

 しかし、「引っ越し先の地域」10%、「交際や結婚相手の出身地」7%、「近所の人の出身地」5%、「求人、応募者の出身地」3%となっており、土地差別調査、結婚差別、就職差別等にウェブページが利用されていることが分かる。「報告書」でも「差別的意図をもって閲覧しているとうかがえる者が一定数見られた」(85p)と報告している。(つづく)