同和問題に関する都連との連絡協議会が、11月21日、都庁会議室にて開催され、東京都は榎本総務局次長はじめ8部局、都連は執行委員13名が参加した。
「協議会」は、会長でもある榎本次長及び都連長谷川委員長の挨拶を受け、都連から2017年度事業要求書の概要を、また都から2017年度事業予算の説明がされ、その後質疑に入った。
部落解放行政の基本に関わって、「部落差別解消推進法案」が衆議院本会議で可決したことを踏まえ、この法案が提出されなければならない今日の差別の現実を踏まえ都としての部落差別撤廃に向けた基本的考え方について、人権部は、法案が成立した場合には国の説明をうけ、都として引き続き同和問題解決に向けて進めていく、と回答した。この回答に対して、都連は「法案」はインターネットなど新たな時代の部落差別を真剣に受け止めなければならないという現れであり、部落解放行政をより強化していくことを求めていると都の姿勢を追及した。
次に、「人権プラザ」の移転が決定し、部落問題解決に向けた施設を現地域にどう残すかが現在大きな課題になっていることについて、人権部は、2018年度予算を射程に入れて検討しているがまだ具体案は示せないと回答。この無責任な回答に対し、都連からは現在のプラザの様々な施策の役割が縮小することは同業行政の後退になる。「法律」の論議がある中で時代に逆行しないよう早急に具体案を提示するよう要望した。
「全国部落調査」復刻版出版事件について、被害者の救済に向けた対策が重要であり、区市町村に相談体制の確立など解放行政の確立が必要になっていることに対して、人権部は、区市町村に対する「指導」権限はないが、「都と区市町村の連絡会」の中で情報提供や人権学習会を開催したと回答した。この回答に対して都連は、複数の区市町村にまたがる人権侵害に対して都は「人権侵害に対する取組の申合せ」を定めており「対策会議」を設置するとしている。多くの同盟員の個人情報や荒川などの地域が差別に曝されている。今回の事件で都は「申合せ」に沿って動いていないと追及した。都は、「申合せに基づいてやっていく必要がある場合はやっていく」とあいまいな回答に終始した。
同和教育の中身に関わって、2016年度人権プログラム、「同和問題」(中学校社会科)において「差別された人々」という記述が11回も繰り返されていることは、部落の生徒の自尊感情を育てる授業にならないということについて、教育庁は、被差別民の仕事の社会的役割や当事者の闘いなどを重視し「人権プログラム」の内容を現在検討していると回答。都連からは、教育庁の方針は区市町村の教育行政にも大きく影響するので早急に見直しをして欲しいと要望した。
その他「連協」では、増加するインターネット上での差別事件を踏まえ都が立ち上げた「インターネット対策検討PT」の進捗状況について、また、公正採用選考にかかわるジョブオーレ事件や「かわとはきもの」改ざん事件を踏まえ、産業労働局としての研修の実績と課題について協議した。