2020年度東京都との同和問題に関する連絡協議会はコロナ禍のため文書回答方式で行なわれ、昨年11月10日に提出した質問・要求事項に対して1月15日に回答があった。質問・要求事項は「Ⅰ解放行政確立」「Ⅱ普及啓発と人権対策」「Ⅲ教育対策」「Ⅳ企業対策」「Ⅴ労働対策」に関わる11項目。以下は主な質問・要求事項と都の回答である。
Ⅰ解放行政の確立
「第2次小池都政下における部落差別撤廃に向けた方針の明確化」については「今後も同和問題の解決のための取り組みに関する基本方針、人権施策推進指針、部落差別解消推進法、東京都人権尊重条例にもとづき取り組みを推進していく」と基本姿勢を明らかにした。
Ⅱ普及啓発と人権対策
「部落マップ差別事件に対する見解の表明と再発防止策の確立」については、「差別を助長する恐れのあるもの」とし、「全国人権同和行政促進協議会」を通じて法務省に削除要請、都として東京法務局に削除要請、関係区市との意見交換、情報共有をおこなったと回答。また、「インターネット上の差別の撤廃に向けた対策の確立」については、「差別書き込みや同和地区に関する情報などがインターネットに流布される状況は大変深刻な問題である」と認識を示しながらも、①リーフレットや動画での啓発、②悪質な差別書き込みについてはプロバイダへ削除要請を行なうよう東京法務局に依頼、③法規制等実効性のある統一的な取り組みを法務省、総務省に毎年度要望しているという回答に留まりモニタリングなど都としての実効性のある取り組みがないという問題を浮き彫りにした。なお、「人権に関する意識調査の実施」については「実施する予定である」と回答した。
Ⅲ学校教育
「全教員を対象にした校内研修の実施」に対して、「校内研修の例を作成し学校が校内の全教員を対象とした研修を通して同和問題に関する正しい理解と認識を深められるようにしていく」と実施する方向性を示した。
Ⅳ企業対策
「皮革関連産業に対する支援策の確立」にかかわって、産業労働局は「経営環境が依然として厳しい状況にあることから今後とも様々な支援策に取り組んでいく」、水道局は工業用水道の廃止にともない「利用者支援について継続的な検証を重ね経営断念につながらないよう丁寧な対応に努めていく」とそれぞれ回答した。
Ⅴ労働対策
「公正採用選考にむけた取り組みの強化」について、就職差別解消月間行事のシンポジウムや都民啓発の充実、採用時のCSR宣言キャンペーンの労働局と連携した推進など「継続的な啓発を図っていく」と回答した。
コロナ禍で差別や人権侵害は強まっており、都の責務として差別撤廃に向けた政策の強化が必要とされており、差別の現実に即した対策を引き続き要求していこう。